
昨日の続きをちょっと、忠良先生の人生の3かけについて。
まず、
汗かけ! これは、そのまま努力せよ。苦労せよ。ということ。
◆恥じかけ! これは、なかなか逆説的で含蓄のある解釈を要するが、詰まるところ、何事 を成すにも、勇気を持てということであろうか。また、どんなに偉く有名になっても、初心を忘れるな。謙虚さを失うなとの戒めであろう。
手紙かけ! とは、人とのコミュニケーションを大切にせよ。との事であったと思う。 忠良先生は、大変、筆まめな方であった。というのは、一介の造形大の卒業生に過ぎなかった若輩の僕などにも、年賀を差し上げると、必ず、近作の自作を印刷したカードに必ず直筆のサインを入れた年賀を返信してくださったことからも良く分かる。また、1991のNYでの本格的個展開催の時にも、不安だろうからとNY在住の美術家・下田治さんをご紹介頂いたときも、必ず先方に手紙を書いて万全を期してくださった。後日、今は亡き下田さんより、僕を紹介する丁重な手紙を忠良先生より頂き、先生の「教え子を思う心に感動した」との言葉が、今も忘れられない。
これらの事実をとっても、先生の人格の高さは一目瞭然であったし、今思うと、ほんとうに恐縮の限りであるのだが、。つまり、3かけとは、先生の後輩・教え子への単なる激励の言葉などではなく、自らの人生哲学そのものなのであったのだ。